横谷派岩本家 岩本寛利
岩本寛利(いわもとひろとし)は、岩本昆寛(いわもとこんかん)の弟子で後に養子となり、岩本家七代目の家督を相続しました。岩本家の門流を守り、江戸中期に活躍した良工の一人と言われています。出身は羽前国庄内(山形県鶴岡市)といわれていますが諸説あります。
虎の児渡し図鐔
虎の児渡し(とらのこわたし)図鐔は、中国の故事にもある図題で、出来が優れ、師昆寛に比肩(ひけん:匹敵すること)する作品です。また、親子虎が極めて丁寧でかつ力強く表現され、寛利としては最高の傑作と評されています。
虎の児渡し
装剣金工の社会で「虎の児(子)渡し」と名付けられている図題です。子渡し、といわれているため親子の虎が二匹描かれています。親子の動物を扱った画は牛、馬、猿、犬などあり決して珍しくありません。その中でも獅子の場合は古来から「児落しの獅子」として有名な物語があります。
虎の児渡しには親子並んで泳ぎ渡る場合と、この図のように子を背にして親が泳ぎ渡る場合があります。虎が子を連れ、工夫して川を渡る物語は広く知られていますが、鐔小道具の図柄としては珍しい部類になります。
虎は子を生むと、三匹のうち一匹は必ず獰猛な性質で他の虎の子を喰うといわれ、これは「彪」と名付けられています。そのため、親虎が子を泳いで対岸に渡す場合には工夫が必要になります。
まず、彪を背負って河を渡りそこに彪を置いて元の岸に戻り、そこに待つ子を背負って彪のいる対岸に渡ります。次に子を降ろして彪を背負って元の岸に戻り、そこに彪を置いて残りの子を背負って対岸に行き降ろします。そして、またもとの岸に戻り彪を背負って対岸に渡ります。つまり、子と彪の二匹の状態に置くと子が彪に喰われるため、それを避けて子と彪をつねに親の目に届くところに置かなければなりません。漫然と渡るのではなく、工夫して渡るところがすなわち「渡す」ということになるのです。
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