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刀剣ブログ

日本の名槍・戦国武将の愛槍

日本の名槍

日本の名槍・戦国武将の愛槍

槍は室町時代中期以後に流行を見せ、戦国時代には先頭第一に敵陣に槍を突き入れたものを一番槍と称し、武功第一として勇名を轟かすに至り、戦国時代まで日本国内に起ったかずかずの争いの主要な武器として発達してきましたが、江戸時代に入って、泰平が続くとともに、武器としての価値を失ってしまいました。 しかし槍とともに発達した日本刀は、その後も武士の守り本尊として、所持されてきたため、現存する名刀も多くありますが、名槍の数が少ないのはそこに原因があったと思われます。しかし槍は、われわれ祖先が永い年月と偉大な努力を費して伝承してきた貴重な美術品であり、また立派な鉄の芸術品でもあります。日本の名槍を見ると、その肉置のすっきりした曲線、鍛え抜かれた純粋な鋼の色、奥深く落ちついた光沢、さらに刃文の種々相など、その美しさは日本刀に優るとも劣らぬものがあります。しかしその数は名刀に比べ著しく少なく、それだけに残されたものの価値は高いともいえます。また各大名家ではお家伝来の武勲の槍をその家の看板として大名行列にはかかすことの出来ないものであり、例えば本多家の蜻蛉切、前橋松平家の御手杵の槍、秋元但馬守家の無の字の槍、庄内酒井左衛門尉家の瓶通の槍、摂州岸和田岡部家の丸子の槍などは実に天下に聞えた槍であり、この槍によって、どこの何様の行列ということがわかり、威厳あるものでした。朱塗の柄の槍は、これも武勲の家柄に限って将軍家から特に許可されるもので、陪臣では長坂血鏡九郎の子孫のみが許されたものであり、青貝柄の槍も家の格式によって許されたものでした。槍には言い知れぬ幾多の感傷と悲喜こもごもの歴史が深く秘められています。今回はそんな武勲を上げた戦国武将の愛槍・名槍を中心にいくつか紹介したいと思います。天下三名槍の日本号御手杵蜻蛉切は別ページにてご覧下さい。

賤ヶ岳の七本槍(しずがたけのしちほんやり)

「賎ケ岳の戦い」は本能寺の変の後、天正十一年(1583年)に織田信長の跡目をめぐって近江国伊香郡賤ヶ岳で起きた羽柴(豊臣)秀吉と柴田勝家の戦いで秀吉方で敢闘し秀吉に天下人へ道を開いた加藤清正、福島正則、脇坂安治、片桐且元、平野長泰、糟屋武則、加藤嘉明の七人を称えて「賎ケ岳の七本槍」と呼びます。

加藤清正 賤ヶ岳の大身槍

加藤清正の大身槍

大身槍 銘 備州長船祐定 永正元年三月日(朱銘)加藤清正息女瑤林院様御入輿之節御持込

賎ケ岳の戦いで加藤清正が所持していたと伝えられる祐定の槍です。茎の朱書によると、その後、清正の息女瑤林院が初代紀州徳川藩主頼宣に入輿の折に持参したものです。 両鎬造りの直槍で、地は板目が柾に流れ、刃文は互の目乱れで、表の腰に素剣の彫物、青貝螺鈿の柄が付属しています。祐定は室町時代、備前国長船に住んでいた刀工で、中でも永正時代の祐定は世上殊に珍重されています。

脇坂安治 賤ヶ岳の十文字槍

脇坂安治 賤ヶ岳の十字槍

十文字槍 銘 金房左衛門尉政定

脇坂安治は幼名を甚内といい、はじめ明智光秀の家来であったが、後に秀吉に仕えた武将で、賤ヶ岳の戦に参加し、七本槍の一人として勇名をはせました。この槍は賤ヶ岳の戦の際に安治が所持していたと伝えられる槍で大和国金房派の左衛門尉政定の作で、大和国金房派の刀工は正次、正真、政長、政次など「正」や「政」の字を冠する名を用いています。同派は槍の上手として聞こえ大身槍や十文字槍があり、天下三槍のひとつ、日本号も無銘で作者不詳ですが大和金房派が有力とされています。

加藤清正の片鎌槍

加藤清正の片鎌槍

片鎌槍 無銘

この槍は虎退治で世に名高い加藤清正の愛槍で、清正が朝鮮の役の時、突然襲いかかった虎の口中に槍を突刺したところ、鋭い牙で噛み折られたと語り伝えられていますが、勿論これはつくり話で、鎌槍の左右の一方が長く、一方が短いものを「片鎌槍」と称し戦国時代に流行しました。茎に「加藤清正息女 瑤林院様御入輿之節御持込」と朱書があり、加藤清正の息女瑤林院が初代紀州徳川藩主頼宣に輿入の際に持参といい伝来が極めてはっきりしています。無銘ではありますが、室町中期の作とみられ、まことに精緻な鍛えで姿もよく、現存する片鎌槍の中では最もすぐれています。

木村又蔵の槍

木村又蔵の槍

槍 銘 田上作

木村又蔵は、名を正勝といい、加藤清正に仕え、加藤十六将の一人、剣と槍をよくし、豪力を以て聞え、同じく大力で有名な毛谷村の主水と相撲をとって勝った話は江戸期の講談で有名な人物です。武人にふさわしく、槍は平三角造の直槍で、鍛えは板目、柾に流れ上半に長い竪割があり、平に樋を掻き、黒漆塗りになっています。

長坂血鑓九郎の槍

長坂血鑓九郎の槍

大笹穂槍 銘 下坂孫次郎 慶長拾六年伏見三年在番之時長坂茶利九郎ウタスル也

血鑓九郎は、姓を長坂といい、徳川家康の祖父清康に仕え、代々徳川家にあって、槍の武功によって知られた家柄です。初代は信政といい、松平清康、広忠、徳川家康三代に仕え、毎戦勇奮して槍の柄が血で真赤になったといい、それによって皆朱柄の槍を許されたといいます。この槍は平三角造、丸首の笹穂槍、板目鍛えがよくつみ、平に角止めの太樋が掻いてあり、堅実な名槍です。

服部半蔵の槍

服部半蔵の槍

服部半蔵は名を正成といい、伊賀忍者の頭目で徳川殿は人持ちよ、服部半蔵 鬼半蔵、渡辺半蔵 鑓半蔵、渥美源五は首取り源五と謳われた豪傑で家康に重用され、石見守に任じ八千石を領し、江戸城半蔵門の内に住してこれを守った。今日もある半蔵門の名は、服部半蔵の名前に由来します。穂は両鎬造で先が折れ、全身錆びて地、刃は全く見えない。柄の部は黒塗りで、柄の半分は空襲で焼け、茎の一面が見える。銘は柄が抜けず知る術がありません。

黒田長政の槍 一国長吉

黒田長政の槍 一国長吉

大身鎗 銘 長吉作(名物 一国長吉)

黒田長政は、孝高(如水)の子で、父の智謀に対し、長政は豪勇で知られ、豊臣秀吉に仕え、賤ヶ岳の合戦以後朝鮮の役に至るまで、 各所で勇名を轟かせた。関ヶ原の役には東軍に属し、戦後の行賞で家康から筑前一国を与えられた。号の由来は初陣よりこの槍をもって幾度も戦功を上げ、ついには筑前一国を領したことから本槍を一国と名付けたとされています。地は板目柾に流れた鍛えで、平の首に「八幡大菩薩」と太い切付があり、平に太樋があり、朱塗りで、その中に三鈷剣の浮彫があります。 作者長吉は、室町時代の山城京の刀工で、平安城長吉と銘をきる場合が多く伊勢の刀工村正の師とも伝えられています。

森長可の十文字槍 人間無骨

十文字槍人間無骨

十文字槍 銘 和泉守兼定(号 人間無骨)

この槍は織田信長が勢州長島を攻めた時に鬼武蔵の異名をとる森武蔵守長可(森長可)が17歳にてこの槍を振るい27の首級を上げたといわれています。森長可は信長の寵童と言われる森蘭丸の兄としても有名です。けら首(穂の末端で柄に接するくびれた部分)上に「人間」裏に「無骨」と彫り、この槍の前では人間も骨が無いように切られてしまうという意で、作者は大業物で知られる二代和泉守兼定(之定)です。

酒井忠次の槍 瓶通しの槍(甕通槍)

酒井忠次の槍 瓶通しの槍

槍 銘 三条吉広

井伊直政、本多忠勝、榊原康政と並んで徳川四天王として聞えた武勇の士、酒井忠次の槍で「瓶通し」の名は、酒井家の言伝えによると、忠次がこの槍を揮って敵を追い詰め、敵が瓶の陰にかくれたところを、手前から瓶もろとも突通してこれを倒したたところからこの名があります。平三角造、鍛えは板目流れて柾に近く、刃文は直刃ほつれで、一見華奢な感じの身で作者三条吉広は、室町時代、山城国京の刀工で作品は比較的少ないです。

岡部長盛の槍 丸子の槍

岡部長盛の槍 丸子の槍

槍 銘 南都住金房兵衛尉政次

岡部長盛は徳川家康に仕え、十六歳のとき長久手の合戦に参加し秀次の軍をうって早くも武名を挙げた武将です。天正十三年の夏、徳川の軍勢は上田城に真田昌幸・幸村父子を攻めた。昌幸は勢がさかんで徳川方は敗退の止むなき状態に陥った。八月二十日両軍は城外の丸子川原で激突し、長盛は激戦ののち、真田勢を追撃して、数十人を倒し戦いを勝利に導いた。本槍はその時の長盛が奮戦したもので、長盛はこの殊勲によって徳川譜代の功臣としての出発を飾った。岡部家ではこの槍を「丸子の御槍」として珍重し大切にしてきました。平三角造の直槍で、鍛は柾目、刃文は中直刃に互の目交り、平に棒樋があり、 樋の中は朱塗りになっています。

秋元泰朝の槍 無の字の槍(無乃字槍)

秋元泰朝の槍 無の字の槍

秋元泰朝の槍無の字の槍

十文字槍 銘 広光

秋元泰朝は徳川家康に仕え、関ヶ原の合戦に参加し、 慶長八年但馬守に任ぜられた後に駿府において近習出頭人(主君の側にあって政務に参与する者)となった人物です。大坂冬の陣の講和が成立して城の堀を埋める時、機転によって通路をつくり、夏の陣では家康の護衛をつとめました。役後残党探索のため海上改め役を仰付かった時、家康から賜わったのがこの槍で、泰朝は増上寺の僧仁的に命じ、鞘に「無(四海事無しという心)」と金文字を書かせ「無の字の槍」の名はこれに由来します。十文字形で丸首、大板目肌の鍛えに、沸つき砂流しかかった中直ぐ、ほつれの刃文を焼いています。

伊達三本槍

片倉景綱の「片刷毛の槍」、鬼庭綱元(茂庭綱元)の「胴白の槍」、後藤信康の「髭漢の朱槍」は伊達三本槍として有名です。

天下三槍

画像:大身槍 銘 藤島友重

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