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刀剣ブログ

不動行光・主君に殉じた忠臣の愛刀

不動行光

不動行光(ふどうゆきみつ)

  • 指定:なし
  • 銘:行光(名物 不動行光)
  • 所蔵:個人蔵
  • 種別:短刀
  • 流派:相州

不動行光

短刀 銘:行光(名物:不動行光)出典:日本刀全集第九巻

不動行光

出典:日本名刀展 正宗とその一門図録

不動行光

不動行光

出典:刀剣春秋

不動行光押形

出典:光山押形

信長に殉じた森蘭丸と共に本能寺で焼失

本短刀は、享保名物帳所載の名物「不動行光」です。号の由来は、差表の櫃内に施された不動明王と二童子の彫物に因んで付けられました。本短刀の伝来は、織田信長から小姓の森蘭丸に下賜され、本能寺の変で信長に殉じた蘭丸と共に焼け身となり、その後はいつの頃からか小笠原家に伝わり、昭和初期まで同家が所蔵、現在は個人蔵です。但し、享保名物帳では単に不動とのみ記されているので、享保名物帳に所載された「不動」という名物が、本当に行光なのかについては疑問視されています。理由としては、天正年間に焼けたものであるにも関わらず「享保名物帳」の「不動」は焼失の項の掲載ではないこと、明治期を代表する刀剣研究家今村長賀が本阿弥長識に名物「不動」について尋ねたところ、長識は「この不動という名物は不動貞宗のことだ」と答えたと「図説刀剣名物帳」に記されていることなどからです。また、信長が「不動行光、つくも髪(名物九十九茄子)、人には五郎左(丹羽五郎左衛門尉長秀)御座候」と酔うと膝を叩きながら自慢のものを歌ったと伝えられ、本短刀を殊の外愛蔵したといわれていますが、このエピソードは「不動行光」だけではなく「不動国行」にもあるため、「不動」という名の付いた三口の名物(「不動国行」「不動行光」「不動貞宗」)のエピソードが混同されていると思われます。以上の点から、「不動行光」が享保名物であるかについては疑問符は付きますが、本短刀ほどの名刀が焼身である事からみて蘭丸が信長から下賜されて所持していたという話は信憑性が高いように思います。

行光は正宗の兄弟子

相州行光は、古来より名工として名高いですが、在銘物は少なく、正真と言われる在銘物のすべてが短刀です。刀は、すべて大磨上無銘であり、正真確実な太刀は現存していません。行光は、新藤五国光を師とし、藤三郎と称したと伝えられています。正宗との関わりについては、古来より兄弟子説と親子説がありますが、今日では作刀の年代から見て、親子ほどの年の隔たりが見られない為に兄弟子説が有力です。行光の作刀には、古くは室町期の刀剣書に作域が広いと記されている通り、師である国光譲りの直刃の他にも湾れ、小乱、大乱、皆焼など様々な作風が見られます。これは、師より受け継いだ山城伝に、行光が新たなアレンジを加えた為と思われ、同門である正宗や則重にもその影響が見られます。ただ、正宗や則重と比べると山城伝が強くでるのが行光の特徴です。

彫り物は大進房の手によるもの

この短刀は焼身である為、本来の鍛えとは異なりますが現状では下記のようになります。姿は平造、三つ棟、身幅尋常よりやや狭く、やや内反りとなる。鍛えは、板目、地沸強くいり、地景よく入る。刃文は、直刃調に、焼身の為かやや乱れごころ交る。彫は、表の櫃の中に梵字、蓮台、火炎不動像、矜伽羅童子、制多伽童子の浮彫を施し、裏には腰樋を施している。この彫り物は、行光の兄弟弟子と伝わる大進房の手によるものではないかと「鑑刀日々抄 続(本間薫山著)」の中で薫山先生は推測していますが、優れた出来であるにも関わらず残念ながら火を被ってしまった為にただれているのが惜しまれると書かれています。焼身となったことは惜しまれますが、森蘭丸の忠義を今に伝える名短刀です。

不動行光の展示情報

短刀不動行光は40年ぶりに2018年1月7日から2月18日まで佐野美術館にて展示されていました。次回の展示が楽しみですね。
不動行光の次回の展示は未定ですが、相州行光の作品は全国の刀剣展示会で不定期で展示されます。機会があれば是非ご覧になって下さい。
全国の刀剣展示会情報はこちら

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